日銀にはもう出口がない

2022年07月21日 16:56
カテゴリ: 日記

債務超過に至るシナリオ

匿名希望 22/07/20 PM11
https://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=379094

感慨深い文章だったので転載します。

円・日本国債の大暴落は不可避。黒田総裁の悪手で「日銀債務超過」待ったなし

(元記事はマネーボイスです)

■世帯所得が低下。物価を上げられない日本企業
輸入物価は40%、企業物価は約10%上がっていますが、価格転嫁は米国の1年遅れであり、日本の物価上昇はまだ2%台です。価格転嫁が遅れている理由は、世帯所得の増加がなく(米国は5%)、企業が値上げを躊躇し、先送りにしているからです。

・公的年金の総額は58.5兆円(1世帯平均231万円:2022年)
・医療保険費は40.7兆円(1世帯平均81万円)です。
公的年金(58.5兆円)、医療費(40.7兆円)、介護・福祉費(30.5兆円)合計では129兆円に膨らんだ社会保障費は、2050年まで増え続けます。現在の、129兆円の財源は、保険料72.4兆円、地方税15.6兆円、国債発行他41.0兆円です。
財政が破産に向かうもっとも大きな原因は、GDPと税収が増えない中で、社会保障費の国庫負担が41.0兆円に膨らみ、この国庫負担があと30年、増えていくことです。
他方、世帯では、賃金が200万円台と低い非正規雇用が37%、同じく200万円台の年収世帯が50%です。この条件で「2%から3%物価が上がれば、名目消費額は増える」とは言えないのが、日本の社会です。
物価上昇率を引いた実質賃金は-2%から-3%になるからです。このため、企業は、「必要な値上げ」を躊躇し、先に延ばしています。

■2022年秋から物価上昇は明らかになる
2022年の秋には、日本は、半年遅れの資源高騰と円安の要素が加わって3%から4%のCPI上昇になる可能性も高い。日本は商品の基礎資源の輸入国ですから、円安が物価上昇の大きな要素になります。
ところが日銀は、2022年の平均物価は2%上昇とはしていますが、物価上昇は一時的としています。
何の理由で一時的なのか示してはいない。物価と金利に責任をもつ当局として見通しが甘い。
日銀は本当に、「日本の物価上昇は一時的」としているのか。本当にこれなら、日銀は、2022年秋からの米国のリセッション(激しい不況)と株価の暴落を想定していることになります。
株価は下がっても、賃金の上昇があるのでリセッションに陥らず、消費景気の好調が続くとすれば、米国の物価は、下がらないからです。

■0.25%の利上げで債務超過に陥る日銀
日銀が、2022年の物価上昇を2%とし、秋から3%、4%に上がる可能性があるとしない理由は他にあります。3%の物価上昇なら、すくなくとも、短期マネーでは0.25%の利上げをしなければならない。
日銀は現在、541兆円の国債を保有し、銀行、生保、外銀の日銀当座預金は547兆円に膨らんでいます。10年未満の国債の金利が0%なので、この当座預金547兆円の超過準備金の金利も0%です。
必要な0.25%の利上げをすれば、当座預金547兆円の超過準備金にも0.25%の金利を払わねばならない。準備金は最大7兆円でいい。これは金利0%です。しかし540兆円という異例の超過準備には0.25%の金利を付けなければならない。
日銀が0.25%に短期金利を上げ、540兆円という超過準備の金利が0%のままなら、銀行、生保、外銀は、日銀当座預金引き出して、約3%の金利が付く米国債の買い、または短期金利が0.25%に上がり価格が下がった円国債の買いをするからです。それをしないと銀行が赤字になります。
日銀が、当座預金547兆円を減らさないためには、当座預金に0.25%の預金金利をつけなければならない
日銀は「547兆円×0.25%=1.36兆円」の利払いをしなければならない。加えて、541兆円の平均がゼロ金利の保有国債の時価は、「541÷(1+0.25%×8年)=541÷1.02=530兆円」に下がります。
日銀の0.25%利上げ1年後の合計損失は、「1.36兆円+11兆円=12.36兆円」になります。日銀の自己資本は引当金7.7兆円をいれても、11兆円しかない。つまり日銀は0.25%の利上げ1年後には、債務超過に陥ります。
物価が3%から4%上がり、0.25%+0.25%の利上げになれば、6か月で債務超過になるでしょう。

日銀が0.25%の利上げによって、時価での債務超過に陥ると、
・世界のシャドー・バンク(ヘッジファンドとインデックスファンド:資金量4000兆円)は、
・一斉に、円(日銀信用)と円国債(日本政府信用)を売り浴びせることになるでしょう。
円は暴落し、既発国債の価格が決める円金利は上がり、円(日銀信用)と円国債(日本政府信用)は、信用崩壊のサイクルに入っていくでしょう。結果は、一層の物価上昇です。

以上の事態も想定されるので、
・日銀は、日本の物価上昇は一時的と言い、
・2022年は2%、2023年は1%としているのです。
2022年の秋の物価が2.5%以上(または3%)に上がるとすれば、破滅へ向かう利上げをしなければならないからです。

■3%物価上昇で日銀が利上げしないと何が起こる?
2022年秋に米国が、個人消費と企業売上が下がるリセッションに陥れば、シナリオは別になります。リセッションの気配がなければ、FRBは、22年7月、9月、11月、12月までの利上げを予定しています。
この間、日銀が短期金利を0%(10年債は0.25%)に据え置けば、どうなるか?円売り、ドル買い、円国債売り(1か月16兆円)が、大きくなることは必定でしょう。
米国の金利が上がらなければ、ドル/円は、130円台で維持されるかもしれない。その確率は、低いでしょう。
日銀が利上げをしなくても、米国の金利が上がれば、円安と円国債の下落(金利の上昇)になっていく確率は高い。
まとめていえば、日銀が利上げをしてもしなくても、米国の金利が上がれば、結果は同じでしょう。
唯一の可能性は、
(1)米国がリセッションに陥り、FRBが利上げを停止すること。
(2)政府財政の信用を高めるため10%の消費税を15%、18%と上げていくことです。
・国民生活は低下しGDPは下がります。
・1ドル145円台の円安と財政破産の、どちらを政府が選択するかの2択です。
日銀にはもう「利上げの出口」がなくなっています。

記事一覧を見る