「オプジーボ」首位、22年国内売上高 前年から300億円以上積み上げ

2023年01月19日 08:29
カテゴリ: 日記日記

日刊薬業 2023年1月19日

 2022年の国内医療用医薬品製品別売上高(薬価ベース)は、抗PD-1抗体「オプジーボ」(1523億円)が1位となり、前年21年に1位だった抗PD-1抗体「キイトルーダ」(1282億円)を逆転したことがエンサイスの集計で明らかになった。21年はオプジーボが1206億円、キイトルーダが1207億円と拮抗していたが、オプジーボが22年に入って売上高を300億円以上も伸ばしたことで、キイトルーダを突き放した格好となった。キイトルーダも21年から売上高を伸ばしたものの及ばなかった。

●5つの適応追加が要因

 オプジーボは、単月当たりの売上高でも、年間を通じて1位の座をキープした。小野薬品工業は、売上高が21年から大きく増えた理由として、同剤の適応追加が進んだことを挙げ、「21年11月以降に5つの適応追加が承認されたが、これによって特に胃がんと食道がんの分野で売り上げが順調に伸びているのが要因」と説明。23年についても「5つの適応追加の貢献が続くと考えられるので、売上高も拡大局面が続くと考えられる」と分析している。

●「リクシアナ」が3位に上昇

 3位には抗凝固剤「リクシアナ」(1165億円)が入り、6位だった21年から売上高を100億円以上伸ばして躍進した。第一三共は、21年8月の適応追加で、出血リスクが高い高齢者でもより安全に使用できるようになったことがシェア拡大に寄与したとし、「まだピークに達したという認識ではないので、引き続き売り上げは伸びると見込んでいる」と今後への期待感を示した。
 単月ごとの上位3製品については、22年前半はPPI「タケキャブ」、抗アレルギー薬「アレジオン」が3位に食い込むことがあったものの、4月以降は1位オプジーボ、2位キイトルーダ、3位リクシアナの構図が定着し、12月まで変わることはなかった。

●1000億円超は5製品、うち3製品が抗がん剤

 22年売上高が1000億円を超えたのは、4位のタケキャブ(1118億円)、5位のEGFR阻害剤「タグリッソ」(1094億円)を含めた5製品で、このうち3製品は抗がん剤だった。21年に1000億円を超えていた抗がん剤「アバスチン」(856億円)が大台を割り込んだ関係で、1000億円超の製品は昨年と比べ1製品少なくなった。

●6~10位にBS・GE参入の動き、顔ぶれ変わる可能性も

 22年は製品ごとの個別の順位に変動はあったものの、上位10製品のラインアップは21年と変わらなかった。ただし、6~10位のうち、アバスチンは昨年、バイオシミラー(BS)参入企業が増加し、V2-受容体アンタゴニスト「サムスカ」とPPI「ネキシウム」は昨年後発医薬品が薬価追補収載された。高血圧治療薬「アジルバ」は今年の追補収載のターゲットに位置付けられている。眼科用VEGF阻害剤「アイリーア」はバイオAGが昨年承認(薬価未収載)されたほか、BSの開発に向けた動きもある。そのため近い将来、上位10製品の顔ぶれが変わる可能性がある。

 エンサイスは単月ごとに医療用医薬品の上位20製品の売上高を公表している。年間の売上高の集計に際しては21、22年ともに1~11月は確定値、12月は速報値の数値を用いた。(加藤 祐樹)

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