クマ笹の呼吸器における炎症性サイトカイン抑制作用

2023年09月28日 15:01
カテゴリ: 日記

歯周病菌でも起こる肺炎

第66回春季日本歯周病学会学術大会
2023年5月開催より

題目「下気道におけるポルフィロモナス・ジンジバリス菌誘導性炎症性サイトカイン産生に対するクマ笹葉抽出液の抑制効果」

 歯周病菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)による直接の刺激が、呼吸器上皮細胞から炎症性サイトカインを大量に産生することが分かっており、発生した炎症性サイトカインが肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症と進行に関与します。

 その一方で、歯周病の治療が肺炎とCOPDの予防に有効であることが知られており、歯周病菌をターゲットにする、新たな呼吸器疾患予防策が望まれています。

▪️クマ笹葉抽出液の呼吸器における炎症性サイトカイン抑制作用

 研究では、呼吸器疾患の予防に効果を示す新たな天然物を検索する目的で、クマ笹葉抽出液が呼吸器におけるポルフィロモナス・ジンジバリス菌誘導性炎症性サイトカイン産生に及ぼす作用が検討されました。クマ笹葉抽出液は呼吸器上皮細胞において、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌誘導性のサイトカイン「IL-8」と「IL-6」産生を濃度依存的に抑制しました。また、炎症や感染応答、免疫応答、細胞分化、増殖、細胞死などにおいて中心的役割を果たす転写因子のひとつが「NF-κB」ですが、クマ笹葉抽出液は主にこのNF-κBの抑制を介して、呼吸器における炎症性サイトカイン産生を抑制することが示唆されました。マウスの肺や気管支においても、クマ笹葉抽出液の前投与により、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌誘導性のIL-8とIL-6産生が抑制されました。

▪️クマ笹葉抽出液の歯周病菌に対する抗菌作用

 口腔ケアにより口腔内細菌数を減少させることは、呼吸器疾患発症のリスクを抑制することにつながります。クマ笹葉抽出液は研究より、歯周病菌に対する抗菌作用が明らかになっています。明海大学歯学部では、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌に対するクマ笹葉抽出液、イソプロピルメタルフェノール(IPMP)の効果が検討されました。(IPMPは「クマ笹歯みがき」の配合成分の一つで、歯周病菌の巣である「バイオフィルム」の内部まで浸透して菌を殺す)IPMPの濃度に関係なく、濃度2.5%、5%のクマ笹葉抽出液は細菌を効果的に抑制しました。また、高濃度のクマ笹葉抽出液とIPMPは、細菌の増殖を相乗的に阻害しました。さらにクマ笹葉抽出液は、他の歯周病菌(壊死桿菌、プレボテラインターメディア菌)や虫歯(ミュータンス菌)に対しても抗菌作用があることが明らかになっています。

まとめ
・クマ笹葉抽出液は歯周病菌を抑制する
・クマ笹葉抽出液はNF-κB(カッパービー)転写活性抑制を介して、呼吸器における炎症性サイトカイン(IL-8、IL-6)産生を抑制する

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